モーターコントロールは日本語にすれば「動き(Motor)を制御する(Control)」ことになり、モーターコントロール障害は「動きを制御することの障害」ということになります。
非特異的腰痛におけるモーターコントロール障害は腰部の安定性が低下し、腰痛の動き(広義の意味で筋機能)を適切に制御できなくなる事による、腰部周囲組織に負担がかかった結果として生じることを意味します。
動作不安は痛みに繋がります。
動作の経験、動作の安定性、動作の質 (エラーの低減)に対する入力の増加、そして動作への自信を得ることによる、自己知覚の増加などは痛みの軽減につながるとされ、また自己知覚、身体知覚が明確ではなく、体が何処にあるのかわからない場合、脳は脅威と捉え、痛みの信号を優先的に捉える (敏感になる)ため、モーターコントロールを正常なものに導くことは非特異的腰痛の改善に必須のプロセスです。
モーターコントロール障害で腰痛が生じるメカニズム
モーターコントロール障害による非特異的腰痛の要因は、前述の通り、主に腰部の不安定性による「腰椎周囲の組織への負荷増大」がメインとなります。
それは本人も気づかない程度の微々たる負荷が蓄積された結果として現れるケースがほとんどでしょう。
具体的なモーターコントロール障害によって生じる負荷は2種類に分類できると考えられます。
①動作時の負荷
②静的姿勢保持の持続的負荷
それぞれが腰椎を制御できないために、腰部にとって不利なポジションを強いられ続けている結果、組織に損傷を与え疼痛が生じる流れとなります。
ただ静的姿勢保持による持続的負荷を姿勢が悪いから腰痛になるといった考え方は少し曲解です。
結論、大切なのは同一姿勢を取りすぎない、姿勢保持の際の筋活動パターンに問題があることです。
姿勢(外見上の姿勢の良さ)が直接痛みに影響するわけではなく、
「その姿勢を正確に把握できているか?」
「見た目の姿勢と自身が感じている姿勢にギャップがないか?」
「筋活動に多様性があるのか?」
「同一姿勢を長時間取り続けていないか?」
ということが重要になることを表しています。